バンクーバー珍道中

バンクーバーでのワーホリ備忘録

選択と理想

もう一遍繰返して「意識の連続」と申します。この句を割って見ると意識と云う字と連続と云う字になります。こうして意識の内容のいかんと、この連続の順序のいかんと二つに分れて問題は提起される訳であります。これを合すれば、いかなる内容の意識をいかなる順序に連続させるかの問題に帰着します。吾人がこの問題に逢着したときーー吾人は必ずこの問題に逢着するに相違ない。意識及その連続を事実と認めるにはすでにこの問題が含まれております。 そうしてこの問題の裏面には選択と云う事が含まれております。ある程度の自由がない以上は、また幾分かの選択の余裕がないならばこの問題の出ようはずがない。この問題が出るのはこの問題が一通り以上に解決され得るからであるこの解決の標準を理想と云うのであります。これを纏めて一口に云うと吾人は生きたいと云う傾向をもっている。(意識には連続的傾向があると云う方が明確かもしれぬが)この傾向からして選択が出る。この選択から理想が出る。すると今まではただ生きればいいと云う傾向が発展して、ある特別の意義を有する命が欲しくなる。すなわちいかなる順序に意識を連続させようか、またいかなる意識の内容を選ぼうか、理想はこの二つになって漸々と発展する。

夏目漱石 文芸の哲学的基礎

 

今日カフェでこの本を読んでいた時にこれは良い言葉と思いメモ。理想とは何か、を詳しく説明していると思うし、理想というものが一通りでなく人々によってそれぞれ分かれているという事が分かる。

ある人が絵であり、ある人がスポーツであり、ある人がプログラミングであり、ある人がYoutuberである。これはどういった内容の中で意識を連続させたいかに分かれる。私なら絵の中で意識を連続させたくない、それを選択により変え私のしたい事(理想)へと進んでいく。つまり「過程と結果」を選択し、それから「理想」が出でてくるのだ。

うむむとなかなかに唸る文である。

 

 

文芸の哲学的基礎

文芸の哲学的基礎