バンクーバー珍道中

バンクーバーでのワーホリ備忘録

夏目漱石

部屋の掃除

今日は死ぬか生きるかの問題は大分超越している。それが変化してむしろ生きるか生きるかと云う競争になってしまったのであります。生きるか生きるかと云うのはおかしゅうございますが、Aの状態で生きるかBの状態で生きるかの問題に腐心しなければならないと…

奇妙な考え方の実践

しかしこの開化は一般に生活の程度が高くなったという意味で、生存の苦痛が比較的柔げられたという訳ではありません。ちょうど小学校の生徒が学問の競争で苦しいのと、大学の生徒が学問の競争で苦しいのと、その程度は違うが、比例に至っては同じことである…

楽な道

つまるところは人間生存上の必要上何か仕事をしなければならないのを、なろう事ならしないで用を足してそうして満足に生きていきたいというわがままな了簡、と申しましょうかまたはそうそう身を粉にしてまで働いて生きているんじゃ割に合わない、馬鹿にする…

イミテーションとインデペンデント

先輩が今まで踏んで来た経路を自分も一通り遣らなければ茲所に達せられないような気がする如く、日本が西洋の前に出ると茲処に達するにはあれだけの経路を真似て来なければならない、こういう心が起こるものではないかと思う。また事実がそうである。しかし…

「成功」の定義付け(それに伴う雑感)

仮令その結果は失敗に終っても、その遣ることが善いことを行い、それが同情に値いし、敬服に値いする観念を起こさせれば、それは成功である。そういう意味の成功を私は成功といいたい。 夏目漱石 模倣と独立 賞賛に値する失敗があり、唾棄すべき成功がある。…

良し、悪しき、というもの

そうして旨く往けばあの人は成功したといわれる。成功したというと、その人の遣口が刷新でもなく、改革でもなく、整理でもなくても、その結果が宜いと、唯その結果だけを見て、あの人は成功した、なるほどあの人は偉いということになる。 夏目漱石 模倣と独…

強固な意志

インデペンデントの精神というものは非常に強烈でなければならぬ。のみならずその強烈なうえに持って来て、その背後には大変深い背景を背負った思想なり感情なりがなければならぬ。如何となれば、もし薄弱なる背景があるだけならば、徒にインデペンデントを…

新年の抱負

要するにイミテーションというものは人の真似をする。それだから自分に標準はない。あるいはあっても標準を立て通すだけの強い猛烈な勇気を欠いているか、どっちかなのである。 夏目漱石 模倣と独立 新年の抱負が、抱負になるのかそれともただの大言壮語に終…

カフェで働く日本人の同僚に対する私の私見

これらの人は自己の主張を守るの点において志士である。主張を貫かんとするの点において勇士である。主張の長所を認むるの点において智者である。他意なく人のために尽くさんとするの点において善人である。ただ自他の関係の関係を知らず、眼を全局に注ぐ能…

個人の意思主張

近頃自我とか自覚とか唱えていくら自分の勝手な真似をしても構わないという符徴に使うようですが、その中にははなはだ怪しいのがたくさんあります。あれらは自分の自我があくまで尊重するような事を云いながら、他人の自我に至っては毫も認めていないのです…

ぼんやりとした精神への向き合い方

腹の中の煮え切らない、徹底しない、ああでもありこうでもあるというような海鼠のような精神を抱いてぼんやりしていては、自分が不快で仕方ないか知らんと思うからいうのです。 夏目漱石 私の個人主義 漠然と、自分がどうしたいのか分からない時にはこういっ…

小説を書く

此の作は斯う云う教訓を書くために、それに合わせるように殊更に作家が筆を曲げて書いたのだと云うことを感じるなれば、私は其作に殊更故意に書き上げた作為の痕跡が見える丈け、それ丈け多くの作品としては失敗したものであると言わねばならぬ。 夏目漱石 …

つまらない人間

人を指して馬鹿といふ、是れ己が利口なるの時に於いて発するの批評なり、己も亦何時にても馬鹿の仲間入りをするに充分なる可能力を具備するに気が付かぬものの批評なり 夏目漱石 人生 私は人に対しての関心がほとんどない。理解できないとか(それは理解した…

小説を書いていて思う事

たとえばここに甲があって、ある憤りの結果、乙を殺す。罪を恐れて逃げる。後悔して自殺する。と仮定すると、憤りが源因で人を殺して、人を殺したのが源因で、罪を恐れるようになって、それがまた源因になって、後悔して、後悔の結果ついに自殺したことにな…

小説家の心構え

けれども真に向かって進む人は必ずしも好悪のない人とは申されません。真に向かって進む間だけ好悪の念を脱却するのであります。尿を検査する医師がいつでも尿に無頓着とは受け取れません。無頓着ならば食卓の上に便器があっても平然として食事ができるはず…

創作の難しさ

動物学者が御苦労にも泥溝の中から一滴の水を取って来て、しきりに顕微鏡で眺めています。たくさんの虫が見えるでしょう。しかしみんな裸体に違ない、のみならず時々はいかがわしい状態をするかもしれない。覗き込んでいる動物学者がこの有様を見て、いやこ…

悩み

即ち、食って行かれないものなら、それは職業として存在し得られない。食って行ければこそ、世の中に職業として存在して居るのである。食って行き得る職業ならば、其職業は職業としての目的を達し得たものと認めなければならぬ 夏目漱石 文芸は男子一生の事…

レジュメ配り

そこで俗に成功した性格とはどんなものかと調べて見ると活動の二字に帰着してしまいます。 夏目漱石 創作家の態度 ジャパレスに申し込むことが9割方決まったのでその言い訳作りにレジュメを配っている。とにかく自分の働きたいカフェにレジュメをばらまき、…